学校で授業を受け、生徒会長から頭を叩かれながらも生徒会活動にも余念がない、端から見れば出来のよさそうなルルーシュ。身体の不自由な妹にも優しい兄でもあります。彼らの本当の身分は秘密にされていて、アッシュフォード家が後ろ盾になってくれている、結構弱い立場にあるのがルルーシュとナナリーの兄妹だったのでありました。何やら、いろいろ辛酸をなめているようであります。
【境界線】
新宿ゲットーで行われたブリタニア軍と日本人<テロリスト>の交戦、そしてそれに乗じた日本人の虐殺、という凄惨な場面から一転して、今回は新宿租界にあるアッシュフォード学園内の平和な風景。
一つの境界を隔てて、片や飛び交う銃弾と阿鼻叫喚の世界、片や他愛もない会話に興じている穏やかな世界があるわけです。そういうものが隣り合わせになっているにもかかわらず、両者の距離は異様なほど遠いです。
推察するに、名誉ブリタニア人でもない限りは、日本人は租界には出入りはできないでしょうし、ブリタニア人側からしてみても、自分たちが征服した被征服者の怨念を恐れてわざわざゲットーに行くようなこともないでしょう。
ブリタニア側は都合の悪い情報は隠蔽し、事実であるかのごとく租界の人々に情報を流す。人々はそれを鵜呑みにして、本当のことは誰も知らない。
これは現代の我々の世界における<縮図>ともいえますね。血が流される世界もあれば、我々がいる世界のように総じて平和な世界があるわけで、日々流される情報を吟味することもなくただ受け取るだけ。ひとたび隣の世界の一部を知ると、その距離感が一層大きく感じられる。<慢性的な不感症>になっている租界側のブリタニア人は我々のことかもしれません。
【偽りのクラスメイト】
その偽りの世界で、新宿ゲットーで何が行われていたことを知っているのが、ルルーシュとカレンの二人でありまして、<テロリスト>のメンバーが何故にアッシュフォード学園というブリタニア人の子女が通う学校にいるのかといえば、彼女がブリタニア貴族の家の出身であるからということなのですが、実はブリタニアと日本人の混血だということがルルーシュの力で明かされた次第。
ブリタニア貴族階級でありながら、反ブリタニアを掲げる非合法活動に身を投じているということで、いささか複雑な事情がカレンにはあるようです。自分の計画を遂行するためには、新宿ゲットーにいたことは絶対に知られたくないルルーシュと、抵抗運動をしている事実は隠さねばならないカレンが学園内で鉢合わせして、おお?いきなり波乱の展開かと思いきや、ルルーシュが便利な「ギアス」の力を駆使して、カレンの「あの声の主はルルーシュでは?」という疑いをうまいこと晴らして今のところ丸く収まった次第。
今後ストーリーが進むにつれ、二人の素性が明るみになったときの混乱振りが想像するだけでドキドキします。
【ギアスの力】
今回も「ギアス」の力を使い放題のルルーシュですが、直接目を合わせた人間を一定時間人を操れる、ということの他に、実は同じ人間には「ギアス」の力を一度しか使えない、という制約がありました。このトンデモナイ力が無制限に使えたらルルーシュは容易に世界を変えられたでしょう。制約の中でいかにして持てる力を使いこなしていくのか、という全ては<使い方次第>ということであります。
【嘔吐】
さて、イレヴン総督クロヴィスの額に銃弾を打ち込んだその翌日には平静を装って学園に戻ったルルーシュは、友人達と普段どおり振る舞いながらも、自ら異母兄を殺害したことを思いおこして、猛烈な吐き気に襲われる。
何人であれ人を殺すという行為自体の残酷さと、死んだ人間の姿を目の当たりにした時の怖れを、身をもって知った人間のそれは当然の反応と言うべきものでありましょう。この時、ルルーシュが虫ケラ一匹殺したまでだと平然としていたら、何とも救いようがないと思うわけですが、一線を踏み越えたということと自らの行為に少なからず嘔吐感を覚えた、というその辺りのルルーシュの<気持ち悪い>という心理もきちんと描いていますよ。
しかし、ルルーシュは立ち止まることはありません。この<気持ち悪さ>も<目的>のための一過性のものであり、こういった自分の感情も<処理>していくことでしょう。
全ては、ブリタニアをぶっ壊す、という目的のためにルルーシュの中では<自己正当化>されていくのではないかと思う次第です。ある意味これは<エゴ>なんですが、肥大化していく自己が周囲の他者との関係の中でいかに昇華していくのか、その過程を追うことで「コードギアス」は物語としても非常に面白いものになるかと思う次第であります。
【憎悪の理由】
ルルーシュが何故それほどまでにブリタニアを憎悪するのかといえば、それは冒頭のルルーシュとクロヴィスが相対する場面で明らかにされています。
ルルーシュの母は庶民の出身であり、それが疎まれる要因となり殺されたらしい(クロヴィスによれば、第2皇子と第2皇女が詳しいことを知っている)。しかも殺したのはテロリストということにされ、残されたルルーシュと妹はブリタニアの外交の道具にされた。妹はこれが元で足が不自由になり目も見えなくなった、と。母を殺されただけでなく、自分たちも政治の道具にされた、という次第です。
うーむ。かなりブリタニアに対する怨みは深いですな。そしてそれは、母を殺した者への復讐にとどまらず、こんなブリタニアはぶっ壊してやる、というかなり過激な決意にまで先鋭化していったわけです。
耐え忍んで生きることを選ばなかったルルーシュには、闘って、自分達をこういう境遇においやった世界そのものを変えてやるという強靭な意志がある。今まで単なる学生だったルルーシュは変わらない世界に苛立ってはいるものの、どうせ何もできない、という無力さを呪う、いわゆる<ルサンチマン>に陥っていたわけですが、この状態を脱却したということです。
ただ、ブリタニアでは、自分は死んだということになっているから、表立って行動することもできない。
ということで、次回の予告のとおり、ルルーシュにはある計画がある様子でありまして、クロヴィス殺害の犯人としてスザクが逮捕されたことから、その計画を前倒しして実行に移すことになるそうで。
次回 STAGE 4 「その名はゼロ」